アルコールの飲みすぎにより肝臓病がおこります。始めは脂肪肝から始まることも多く、飲みすぎれば誰にでも起こります。飲み続けているとアルコール性肝炎という病気になり、死亡することもあり得ます。さらに飲み続けると肝硬変という最終段階に入ります。ここまで来ると治るのが大変です。そうならないような飲み方、またアルコール性肝臓病の早期発見が大切です。
アルコールの飲みすぎによりにいろいろな臓器に病気が起こりますが、なかでも肝臓病は最も高頻度で、かつ重篤にもなる病気です。アルコール性肝臓病は飲酒量が多いほど、また飲酒期間が長いほど起こりやすくなります。事実、独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センターにおけるアルコール依存症者(毎日日本酒にすると5合以上を10年以上飲んでいる人たちがほとんど)における肝障害は約80%と高頻度です。アルコール性の肝臓病の特徴はB型肝炎、C型肝炎と異なり、自らの意思でその発生を予防しえるという点です。しかし残念ながらその予防は実行できていないため、現実にはアルコール性肝臓病の割合は増加しています。
脂肪肝の状態でさらに大量の飲酒をした場合にアルコール性肝炎(腹痛、発熱、黄疸の症状)という重症な状態になり、死亡する場合があります。アルコール性肝炎の診断がなされた人のほとんどは、その時点で断酒が不能のアルコール依存症(一時的にはお酒をやめたり、控えたりすることができますが、早晩もとの飲酒量になってしまいます)になっています。アルコール性肝炎で運よく改善した人がまた飲酒を再開するとやがて肝硬変に進みます。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、よほどのことがない限り音を上げない臓器です。したがって症状が出てからでは遅く、早期発見が大切です。したがってお酒を常習的に飲んでいる方は、症状がなくても定期的に血液検査を受けるようにしてください。肝臓病の早期発見には血液検査を行ないますが、検査項目としてはAST(GOT), ALT(GPT), γ-GTPがあります。γ-GTPが高値の方はアルコールの飲みすぎが疑われますので、お酒の量を控える(1日平均2ドリンク: 日本酒にして1合、ビールなら中びん1本程度)ことが大切です。もしAST(GOT), ALT(GPT) も高値の場合には肝炎が疑われますので、断酒が必要となります。
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