Tag Archives: 小柴胡湯

肝庇護療法

C型慢性肝炎インターフェロン治療後の長期予後より、炎症の持続と線維の増加に伴う病期の進展を阻止することが、発がんを抑制する上で大切なことが明らかになってきました。 Read more »

インターフェロン

ウイルス性肝炎を根治することができるものとして期待されているのが「インターフェロン」。免疫系に働き掛けて、肝炎ウイルスの増殖を抑えて破壊する効果があります。そのような働きから、ウイルス性肝炎の抗ウイルス薬として広く用いられています。

当初は生産量が少なく、しかもとても高価だったのですが、現在ではバイオの働きで培養細胞による大量生産によって供給されています。医薬品として承認された後はB型肝炎C型肝炎などのウイルス性肝炎の治療に用いられています。それでも、インターフェロン治療を受けるための医療費もまだまだ高額で、医療費の自己負担額は年間約80万円前後掛かるのが玉にキズです。

また、インターフェロンを用いた治療はとても効果的ではありますが、場合によって強い副作用を伴うこともあるため、すべての人に効果があるとは残念ながら言えないのが現状です。B型肝炎では約3割、C型肝炎では約5~6割ほどで、治療効果が期待できるとも言われます。

副作用としては、発熱、だるさ、疲労、頭痛、筋肉痛のほか、けいれんなどのインフルエンザ様症状、投与部位の紅斑、痛み、痒みが見られることが多いようです。まれに脱毛、蛋白尿、めまいや抑鬱もあります。たいていは数日で回復しますが、場合によっては間質性肺炎や抑鬱による自殺があります。また、小柴胡湯と併用すると間質性肺炎が起こりやすいので併用は絶対行ってはならないとされています。

肝炎の治療

現在、全国の病院で使用されているC型肝炎の治療薬は、

  1. 抗ウイルス薬のインターフェロン
  2. 肝庇護薬(肝保護薬) (→肝庇護療法

の2種類に大きく分けられます。

肝庇護薬はインターフェロンと違い、肝炎ウイルスの持続感染を断ち切るような直接的な効果はなく、免疫調整作用を目的に投与されています。慢性肝炎や肝硬変では患者自体の免疫反応が大きな意味を持っているため、肝庇護療法は肝炎の補助療法として欠かせません。

さらに最近の研究により、肝庇護療法の新しい効果が発見されました。何種類かの肝保護薬を組み合わせてC型肝炎の最も重要な指標のALT(GPT)値を低く保って持続炎症を長期間抑えた場合、慢性肝炎から肝硬変への進展が抑制され、さらに発ガン率の大幅な抑制効果も明らかになったのです。

C型肝炎や慢性肝炎では命を落とすことはありません。しかし治療せずに放っておくと、やがて肝硬変を経て肝臓ガンになってしまいます。現在、国内では肝臓ガンと肝硬変を合わせて年間約4万5000人が死亡していますが、その約8割がC型肝炎からの移行です。

神奈川県立ガンセンターの研究報告によれば、手術を受けたC型の肝硬変や肝臓ガンの患者を3年間にわたり経過観察したところ、ALT(GPT)値が低かったグループではガンの再発率が14%だったのに対し、ALT(GPT)値が高かったグループでは再発率が実に75%にも達したことが分かりました。なお、研究では、ALT(GPT)を下げるために肝庇護薬が使われましたが、どれも単独では効き難いため、数種類の肝庇護薬を併用する方法でALT(GPT)を下げています。

この研究結果により、C型肝炎や肝硬変でもALT(GPT)を低く保てば肝臓ガンが予防できることが明らかになり、肝庇護療法の必要性が改めて認識されるようになりました。

日本でよく知られている肝庇護薬には強力ネオミノファーゲンC(SNMC)ウルソ小柴胡湯などがあります。しかし、これらは単独で使用した場合、ALT(GPT)を低く維持する効果は十分には得られないことが研究により明らかになっています。

ま た、この3種類の肝庇護薬には副作用の問題があり、特に小柴胡湯は間質性肺炎の恐れがあるためにインターフェロンの併用が禁忌という大きな制限がありま す。効果が高く汎用されている強力ネオミノファーゲンは静脈注射による投与であるため、治療を受ける患者の長期にわたる苦痛と負担は避けて通れません。

強力ネオミノファーゲンと同程度の効果を持ちながら経口使用できて、なおかつ副作用の問題がない新しい肝庇護薬が果たしてあるのか? その答えが天然の薬草である垂盆草にありました。