垂盆草は、ベンケイソウ科マンネングサ属の多年草で、学名Sedum sarmentosum、和名としてツルマンネングサ(蔓万年草)とも言われます。実は、わたしたちの暮らしの中で身近にある植物のひとつなのです。河原や土手、石垣に自生し、初夏になると金色の星形の五弁の花を咲かせます。黄金色の花は観賞用植物として昔から親しまれてきました。
地面を這うように伸びていき、その長い茎がプランターや植木鉢などの縁に届くと、その縁から下に沿ってさらに伸びて垂れ下がるのですが、これをお盆から垂 れ下がるさまに見立てて、垂盆草と名づけられたそうです。
根は付きやすく、高さは10~20センチ程度。葉は長さ1.5~2.5センチ、幅3~6ミリ、輪 生し、肉質で針を逆にした形もしくは矩円形です。花弁は5枚で淡い黄色、頂点は短く尖っています。
垂盆草は、中国や朝鮮半島が原産といわれ、漢方の世界では古くからある大変有名な植物で「石指甲(せきしこう)」とも呼ばれています。漢方発祥の地である中国では、古来より垂盆草を「健康に有効」な植物として信頼し、後代に伝承してきました。漢方の集大成「本草綱目」など多くの古文献にも収載されている伝統的な薬草であり、中国の人からは「神仙草」や「不死の草」と呼ばれ、大変珍重されています。
また、韓国では垂盆草を食材として利用されています。垂盆草は医食同源の野菜として有名で「ドンナムル」と呼ばれ、韓国では定番の健康食材です。春先のやわらかい、水気をたっぷり含んだ葉をおひたしや和え物にするなど家庭料理としてよく食べられています。
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