Category Archives: 5. 垂盆草とは

垂盆草とウコン、田七の比較実験資料

垂盆草・田七・ウコンの肝臓内のトランスアミナーゼに対する薬理比較の総括

胡軍 中国薬科大学

【摘要】
本文は田七ウコン垂盆草エキスのCCL4(四塩化炭素)起因によるラット急性肝臓損傷に対する保護作用の実験を行い比較したものである。結果は、田七には服用量が多く、治療効果が極めて緩慢であるなどの欠点がある。ウコンは少量服用すると酵素低下作用があるが、多量服用するとかえって酵素が上昇する傾向にある。一方、垂盆草はCCL4起因によるラット急性肝臓損傷に対して顕著な保護作用があり、かつ血清中のALTASTレベルを低下させ、病理組織学研究においても顕著な改善作用が見られたのである。

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垂盆草エキスのCCL4起因によるマウス肝損傷に対する保護作用

垂盆草エキスのCCL4起因によるマウス肝損傷に対する保護作用

張岫美、王菊英、婁海燕、劉慧青
山東大学医学院薬理学研究所 山東省済南市文化西路44号 250012

【摘要】

当実験では垂盆草エキスのCCL4(四塩化炭素)起因によるマウス急性肝損傷に対する保護作用を研究した。結果は、垂盆草エキスのCCL4起因によるマウス急性肝損傷に対して保護作用があり、血清ALT、ASTレベルを低下させた。また病理組織学研究においても顕著な改善作用があったことが証明された。

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垂盆草とは

C型肝炎B型肝炎の方にぜひお試しいただきたい「垂盆草」。

垂盆草で、7割の方が肝臓数値を3か月以内に回復。有効率88.4%、2週間以内の回復率82%。3500例の臨床データが垂盆草を支持しています。

垂盆草で、約7割の方が肝臓数値を3か月以内に回復。有効率は88.4%、2週間以内の回復率は82%と、3500例の臨床データが垂盆草を支持しています。


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垂盆草とウコン・田七との比較

日本でよく知られている肝臓に良い食品にはウコン田七などがあります。ウコンのクルクミン、田七のサポニンが有効成分となって肝臓に胆汁排泄促進作用や血流改善作用などを促すと言われています。しかし、最新の研究結果により、ALT(GPT)低下作用に関しては垂盆草のほうがウコンや田七よりも高いことがわかりました。

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垂盆草から得られる肝保護剤、該肝保護剤を含有する医薬又は食品、及び垂盆草から得られる新規メガスチグマン化合物

垂盆草から得られる肝保護剤、該肝保護剤を含有する医薬又は食品、及び垂盆草から得られる新規メガスチグマン化合物

【課題】ベンケイソウ科植物である垂盆草より得られる肝保護剤、肝保護効果を有するヒト又は動物用医薬もしくは食品、さらに、垂盆草の抽出成分を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン化合物を提供する。

【解決手段】垂盆草の全草、水もしくは低級脂肪族アルコールの含水物等により垂盆草を抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、 又は該抽出液等を分離、精製して得られるメガスチグマン化合物を含むことを特徴とする肝保護剤、この肝保護剤を含有するヒト又は動物用医薬及び食品、並び該抽出液等を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン化合物。

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垂盆草から得られる脂肪代謝改善剤、該脂肪代謝改善剤を含有する医薬又は食品、並びに垂盆草から得られる新規メガスチグマン及びフラボノイド化合物

垂盆草から得られる脂肪代謝改善剤、該脂肪代謝改善剤を含有する医薬又は食品、並びに垂盆草から得られる新規メガスチグマン及びフラボノイド化合物

【課題】ベンケイソウ科植物である垂盆草より得られる脂肪代謝改善剤、脂肪代謝改善効果を有するヒト又は動物用医薬もしくは食品、さらに、垂盆草の抽出成分を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン及びフラボノイド化合物を提供する。

【解決手段】垂盆草の全草、水もしくは低級脂肪族アルコールの含水物等により垂盆草を抽出して得られる抽出液、又は前記抽出液を濃縮して得られる抽出エキス、 又は該抽出液等を分離、精製して得られるメガスチグマン及びフラボノイド化合物を含むことを特徴とする脂肪代謝改善剤、この脂肪代謝改善剤を含有するヒト 又は動物用医薬及び食品、並び該抽出液等を分離、精製することにより得ることができる新規メガスチグマン及びフラボノイド化合物。

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垂盆草の効能と主治

垂盆草の効能と主治

(一)垂盆草(日本名:ツルマンネングサ) Sedum sarmentosum Bunge

ベンケイソウ科多年生肉質草本植物の垂盆草の新鮮で乾燥させた全草である。

  • 【別名】
    (中国名)狗牙草、石甲草、三叶佛甲草、地蜈蚣草
  • 【植物形態】
    多年生肉質草本で、茎は地上を匍匐しており、種子が盆の中についた場合に長い茎が盆を沿って垂れ下がることから垂盆草と名づけられた。根が生え易く、高さは10~20cm程度、葉は輪生し、肉質で針を逆にした形もしくは矩円形である。長さは1.5~2.5cm、幅3~6mm、先端は尖っており、基部に矩がある。花弁は5枚で、淡い黄色で、頂点は短く尖っている。おしべは10本あり、比較的花弁は短い。鱗片は小さく四角形である。心皮は5つで若干開いている。果実は5つである。花期は4-5月で、果実の実る時期は6-7月である。
  • 【生態分布】
    山部崖の岩石地帯、狭隘部、道端、川岸に植生する。また栽培専門家もいる。中国東北地方、河北、河南、江蘇、安徽、浙江、江西、湖北、四川省など各省に植生している。主産地は浙江、江蘇及び安徽省である。
  • 【薬用部位】
    全草、異物を除去して、日干しにするか新鮮な物を使用する。夏秋季に摘採する。
  • 【成分、薬理研究】
    成分:垂盆草内に主として含有されているのは垂盆草配糖体sarmentosineである。Glc-O-CH2CH=C(CH2OH)CN 垂盆草配糖体この他にアミノ酸、フラボン、トリテルペノイド及びステロール等である。アミノ酸は主にアスパラギナーゼ(L-aspargine)、アスパラギン酸(L-aspartic)、アラニン(L-α-alanine)、ロイシン(L-leucine)、チロシン(L-tyrosine)、バリン(L-valine)などを含有する。

[薬理研究]

  1. 肝臓保護、酵素抑制作用
    動物実験により垂盆草には肝臓保護作用があることが証明された。実験動物のALT、γ-グロブリン値及び肝臓の腺維化は明らかに低下、抑制され、酵素抑制成分は垂盆草生薬及び乾燥させた全草の水溶部分に存在している。希釈アルコール抽出物の水溶部分の主な成分は垂盆草配糖体である(構造式は上記参照)。その他の研究では四塩化炭素中毒になる前に、事前にラットがフェノバルビタールナトリウムによって引き起こされた急性黄疸型肝炎にたいして、垂盆草は顕著な治療効果を現した。例としては対照グループラットの血清中のビリルビンは1.6mg/dlであったが、垂盆草グループはわずかに0.5mg/dlであった。垂盆草は持続して用い6週間以上治療したところ、病理学観察において肝細胞の炎症性浸出物は明らかに消失し、門脈域の炎症性細胞の浸潤も消失し、壊死巣も減少した。このことにより垂盆草配糖体の酵素抑制作用の主用なものとしては細胞の損傷を改善させることによって得られるものであることが証明された。異なる種類の動物の肝細胞膜抽出物を抗原として、マウスの免疫性肝炎病理変化を作り出し、2、5、9週目と区切ってマウスの血清と肝臓抗原を取って免疫を対流させて電気泳動をおこない、同時に肝細胞切片をとってクッペル細胞の増加、門脈域の中性及び単核細胞の浸潤について観察したところ、肝細胞の点状壊死等の状況から見て、垂盆草には免疫性肝炎に対しては治療作用がないことが証明された。
  2. 免疫抑制
    ラット、マウスの免疫実験中に、垂盆草配糖体の薬剤量が500mg/kgまで増加した場合、実験動物に対して顕著な抑制作用が見られた。またマウスの胸腺細胞を減少させたため対照グループの62%に止まった。ラット移植片対宿主反応を抑制する反応の実験中に、ラットの脾臓細胞リンパ節の増加指数は対照グループよりも低く、その抑制率は74%であった。この他にマウスの脾臓プラクを形成する細胞を抑制させたが、これは健全なマウスの42-46%にすぎなかった。以上、これらの実験により体液免疫にも抑制作用があることが証明された。垂盆草配糖体は動物実験を通して生体細胞免疫に対して顕著な抑制作用が証明された。また、胸腺細胞数を減少させて、T細胞の介在による移植片対宿主反応やT細胞依存による抗原-SRBCの抗体形成細胞を抑制する。副作用も小さく、毒性も低い。この他に垂盆草を服用した後のリンパ細胞の転化率及びマクロファージ機能を明らかに低下させる効能があり、有効に細胞免疫反応を抑制させることによって、肝細胞の損傷を減少させることによってALT値を低下させた。大部分の患者はALT値の低下に伴い、臨床症状も改善または治癒し、細胞免疫指標も明らかに低下したが、一部の患者の指標は元々低く、服薬後にALT値が減少し臨床症状も改善したが、逆に細胞免疫指標は上昇してしまった。しかしながら、これはひとつの将来性のある免疫抑制剤であると考えられる。調査により本製品は8-9月に採取すると、有効成分の含有量が最高であり、品種は江蘇、山東、浙江麗水や桐盧一帯の産地のものが良好なものとされている。その中でもミツバベンケイソウ(Sedum vertcillatum)の含有量が高く、錠剤製造の原料として使用することができる。

[主治と効能]

中医では、垂盆草には解熱解毒及び鎮痛、腫瘍消失、黄疸消失、湿邪排除作用があり、湿熱、黄疸、小便不調時に使用する。

効能

主治

解熱・解毒

癰疽・腫瘍、毒蛇の咬み傷、火傷、咽喉腫れ

湿邪の排除、黄疸の消失

湿熱、黄疸

酵素抑制

各タイプALT、AST値が上昇している肝炎

垂盆草の各種薬剤は肝炎治療に使用されてから30年が経過した。臨床では各タイプの肝炎に対して割合良好な酵素抑制作用を示した。垂盆草単品の各種薬剤の治療効果は70.4~74.4%の間である。例としてはその他の関連する薬物による“復方垂盆草”の場合は、酵素抑制作用は82-93%にまで上昇し、これは五味子製剤(84.2%)やBifendate(91.1%)の治療効果と相似していることが証明された。治療効果が高く、毒性が低いことから現在までに各型の肝炎治療に対して広範囲で使用されている。

楊金龍等はアシクロビルと垂盆草を使用してB型肝炎治療に関して比較を行った。アシクロビル750mgと塩化ナトリウム500mgを調合して毎日1回静脈注射したところ、1ヶ月経過後に慢性B型肝炎が治療できた患者は31例だったのに対し、垂盆草10gを経口服薬したところ、1ヶ月経過後には20例治療できたということで比較をした。治療グループは症状が改善された。例としては脱力感、集中力の欠乏、腹部の腫れ、肝臓の痛み、ALT上昇等の総有効率はそれぞれ94%、95%、80%、100%、79%であった。一方、垂盆草グループはそれぞれ89%、1%、3%、100%、70%であった。両グループ差には特に顕著な意義はなかった(P>0.05)。治療グループのHBeAgが陰性に改善したのは14/31であり、対照グループは無効であった。

劉翔等は垂盆草を使用して頸部の痛みを持つ患者50例を治療した。局部に垂盆草を敷いて15分経過時に、赤腫れ、腫れ痛が緩和した患者は37例あり、15~30分間の間に緩和した患者は13例であった。また、3日間で治癒した患者は7例、4日間治癒は12例、5日間治癒は31例であった。つまり5日以内に全て治癒させることができるのである。これは一種の簡単で、経済的にも有効な治療法である。

蘭義明は垂盆草を敷くことによって帯状の疱疹をもつ患者50例を治療したところ、治癒39例、好転10例、無効1例で、総有効率は98%であった。最短の薬剤使用日数は3日、最高は7日であった。

注意:筆者は肝寿峰を使用して5例のB型肝炎患者及び1例の慢性B型肝炎の治療を行ったが、共に良好な成果が得られた。詳細は下記の表を参照。

1.肝寿峰による5例のB型肝炎を治療した(下の表を参照)。

肝寿峰による5例B型肝炎の治療結果

番号

年齢

性別

診断

ALT

治療前

治療後

1ヶ月

2ヶ月

3ヶ月

4ヶ月

5ヶ月

1

41

男性

慢性B型肝炎(軽度)

280U/L

240

220

240

260

220

2

53

男性

慢性B型肝炎(軽度)

200U/L

220

180

200

3

31

男性

B型肝硬変(食道静脈破裂出血歴)

96U/L

42

38

32

26

26

4

34

男性

B型肝硬変(腹水歴)

84U/L

64

28

38

40

24

5

52

男性

アルコール性肝硬変非代償

1668U/L

240

80

40

28

26

3例の肝硬変の治療効果は良好であるが、2例の慢性B型肝炎に対しては無効であった。

2、慢性B型肝炎(軽度):

ウイルス抑制及び酵素抑制を共に採用して治療を行ったところ、良好な成果を得た。

男性、45歳。慢性B型肝炎が発病して10数年になるが、2000年3月よりALT、ASTの上昇が見られた(ALT:240U/L、AST:150U/L)。ウイルスマーカーはHBsAg+、HBeAg+、抗-HBc+を示した。またHBV DNA100Pg%で、他の項目は正常であった。以前より多種の肝臓病治療薬を使用して治療してきたが効果がなく、2000年6月14日より共同治療を行った。即ち、インターフェロン、fanciclovir、チモシン、復方垂盆草カプセルを使用して治療を行った。インターフェロンab(商品名:賽諾金)500万U、毎日1回皮膚注射を行う。30回行った後500万U投与すること。一日おきに皮膚注射する。治療期間は合計で9ヶ月である。Fanciclovirは1回につき500mg投与する。1日3回で治療期間は合計6ヶ月である。復方垂盆草カプセル(肝炎霊4号)1回につき4粒服用する。1日3回、治療期間は合計で6ヶ月間続ける。

投薬から3ヶ月経過後にALT、AST値は正常値にまで低下し、HBsAg、HBeAgは陰性、抗-HBcも陽性に変化した。またHBV DNAは10Pg%にまで低下した。9ヶ月目を迎えるとALT、AST値は一貫して正常値を保ち、抗-HBcは陽性、HBV DNAは陰性状態を持続した。2001年12月25日にB型肝炎ウイルスマーカーを再検査したところ、抗-HBS+、抗-HBe+、抗-HBc+のウイルスマーカーが出現しており、HBV DNA陰性の状態を示し、ALT、AST値は正常値を保持した。2002年6月6日までに再度検査を行った際も上述した結果を保持しており、患者は全快していた。

[用法と使用量]

  1. 生薬:
    (1)乾燥した垂盆草:毎回10-50gを煎じて服用する、一日3回。
    (2)新鮮な垂盆草 :毎回50-250g煎じて服用する、一日3回。または垂盆草錠剤、垂盆草シロップを作っても良い。
  2. 垂盆草沖服剤:沖服剤中には1袋につき垂盆草配糖体24mg含有されている。毎回1-2袋服用する。一日3回。
  3. 復方垂盆草カプセル:
    垂盆草、ウツボグサ、山豆根など多種の漢方薬を精製して作られたものである。カプセル1粒につき抽出物250mg含有している。毎回4-6粒のカプセルを服用する。一日に3回服用。

[注意事項]

垂盆草のALT抑制作用は有効なもので、各型の肝炎の中でも多くはALTが低下した後に、患者の肝臓病の各種症状も改善、回復するが、但し肝細胞損傷は異なる程度に応じて回復する。そのため多くの患者、特に慢性肝炎患者は服薬停止後まもなくしてから再びALTが上昇する。そのため垂盆草は臨床応用時に、その他の酵素抑制剤と同様に、比較的長い時間応用することによって治療効果が安定する。筆者の経験に基づくと、薬はALTが正常値まで低下するまで使用し、同等の薬剤量を少なくとも半年以上使用して徐々に量を減らしていき、1年以上持続して服薬停止すると再発率は最低値にまで低下する。垂盆草の毒性は非常に低いが、服薬後に胃部に違和感を感じる患者もいる。しかし、量を減らすか元の使用量を1日に4、5回に分ければ消失する。

参考文献

  1. 上海延安制药厂,肝炎新药-复方垂盆草糖浆,医药工业 1973;(1);59
  2. 杭州中药一厂,垂盆草片,中草药通讯 1973;(4);13
  3. 上海市中医研究所,等,应用垂盆草治疗急性和慢性活动型肝炎1000例的初步报告-对谷丙转氨酶活力检测情况的观察,医学情报交流 1973;(7);27
  4. 上海卢湾区中心医院内科,复方垂盆草糖浆对慢性肝炎和迁延性肝炎的疗效观察,新医学1974;(7);27
  5. 上海市中医研究所内科,垂盆草治疗活动性肝炎1000例疗效观察;医学研究通讯 1975;(2);34
  6. 吴光景 垂盆草有效成分的初步研究,芜湖医药 1978;(2);64
  7. 方圣鼎,等,有效成分垂盆草甙的分离与结构,科学通报 1979;(9);431
  8. 翟世康,等,垂盆草甙免疫抑制作用的研究,中华微生物与免疫学杂志 1982;(3);145
  9. 方圣鼎,等,垂盆草化学成分的研究Ⅳ,垂盆草甙及垂盆草甙的结构,化学学报 1982;(3);273
  10. 郭佳,等,垂盆草降谷丙转氨酶的机理探讨,上海中医杂志 1991;(4);47
  11. 韩絮琳,等,肝复灵4号治疗病毒性肝炎的疗效观察,第二军医大学学报 1999;20(8);586
  12. 中华微生物和免疫学杂志 1982;1(3);145
  13. 李静芳等,药学画报 1981;16(5);269
  14. 杨金龙等,阿昔洛韦与垂盆草治疗乙型肝炎的比较,新药与临床,1994;13(3);175
  15. 刘翔等,垂盆草治疗颈痛50例,中国中西结合外科杂志 2001;7(2);120
  16. 兰义明等,垂盆草外敷治疗疱疹,福建中医药 1999;30(4);46

垂盆草と脂肪肝の研究資料 2

現代中国の垂盆草の脂肪肝臨床研究

垂盆草と脂肪肝の研究資料 2
垂盆草と脂質過酸化防止の研究
「垂盆草によるマウスとラットの肝臓の脂質過酸化損傷の防護作用」

  • 研究者:薛継艶、魏懐玲、劉耕陶
  • 「垂盆草対小鼠和大鼠肝臓脂質過酸化損傷的防護作用」
  • 中西医結合肝病雑誌、1993,(3):14~15

垂盆草の水抽出エキスが、急性アルコール中毒によってもたらされるマウスの脂質過酸化による損傷に与える影響とフリーラジカル(活性酸素)の消去作用について研究した。その結果、垂盆草の水抽出エキス(10g/kg)を経口すると、アルコールがもたらすマウスの肝臓の解毒酵素GST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)の消耗やMDA(血漿中過酸化脂質)の生成を明らかに防止した。また、垂盆草の水抽出エキスとラットの肝臓微粒体を体外培養したところ、NADP-Vitc(酵素系脂質)による微粒体の脂質過酸化とFe2+-(アスコルビン酸)によるラットの肝細胞の脂質過酸化による損傷にも顕著な防護作用があることがわかった。

垂盆草と脂肪肝の研究資料 1

現代中国の垂盆草の脂肪肝臨床研究

垂盆草と脂肪肝の研究資料 1
脂肪肝の薬物治療

  • 研究者:慮書傳、蔡嚇東、雀振宇(北京地壇医院 北京 100011)
  • [目的]
    脂肪肝治療の薬物及び治療法を正確に選択すること。
  • [方法]
    国内外の関連文献を総括する。
  • [結論]
    臨床の医師は脂肪肝の原因や症状をもとに、脂肪肝の薬物治療を正しく選択すべきである。

脂肪肝は独立した疾病でなく、多くの原因から引き起こされる肝臓の脂肪変性である。最も多い原因に肥満、アルコール中毒、糖尿病が挙げられる。その次に栄養失調、薬物中毒、妊娠、遺伝等がある。国民の生活水準の改善により、脂肪肝の発病率は年を負う毎に上昇する一方であり、平均人口の10%を占めるほどである。肥満、アルコール、糖尿病の人々の中では脂肪肝は50~60%に達している。その内、25%の患者は肝臓が繊維化しており、1.5~8%の患者が肝硬変にまで悪化している。このため、脂肪肝の治療は慢性的な肝臓病への進展の阻止と予後改善にとって大変重要である。

  • 脂肪肝の薬物治療

脂肪肝の薬物治療は多種あり、主に次のように分かれる。

  1. 脂質低下性薬物
  2. 肝臓保護と脂質低下性の漢方中薬

ここで説明しておくべきことは現在でも脂肪肝の治療は病因を積極的に排除することであり、正しい食習慣が大切である。薬物はあくまで補助治療であり、脂肪肝の病因と病状をもとに正しく選択すべきである。

  • 肝保護酵素低下薬

以前は脂肪肝が肝機能に与える影響は小さいととらえられてきたが、近年、脂肪肝の発病率増加に伴い、30%以上の脂肪肝患者の血中酵素値が正常値の2~3倍に達していることがわかった。特にアルコール性脂肪肝の患者の場合はALT(GPT)、AST(GOT)が正常値の5~10倍にまで上昇することがわかっており、γ-GTPも平均値より明らかに高くなるため、アルコール性肝障害の診断材料となっている。このため、肝機能異常の患者には肝保護酵素低下薬を与えるべきである。選択としては垂盆草冲剤がある。

Drugs for treatment of fatty liver
Lu Shuwei,Cai Haodong,Cui Zhenyu
(Ditan Hospital,Beijing 100011,China)

[Abstract] objective: To select the suitable drugs and therapy for steatohepatitis. Method: Related literatures of national and overseas were summarized about drug therapies steatohepatitis. Result: Treatment for steatohepatitis must get rid of the etiological factors first and adjust diet intake. The drug therapies are only an auxiliary therapy. Conclusion: Doctors must select drug treatments for steatohepatitis reasonablely according to the etiological factor and state of steatohepatitis.
[Key words] steatohepatitis; cholesterol; triacylglycerol; drug treatment

垂盆草の脂肪肝臨床応用資料 3

現代中国の垂盆草の脂肪肝臨床研究

垂盆草の脂肪肝臨床応用資料 3
「健脾疏肝法」による脂肪肝治療

  • 医薬衛生報

[摘要]

1997年7月より2000年5月まで「健脾疏肝法」を脂肪肝42例に運用したところ、比較的良い治療効果が得られた。観察した患者は全員で82例おり、ランダムに治療組42例、対照組40例に分けた。82例の患者全員には超音波で肝臓に脂肪蓄積が示され、81例には程度が違う高脂血症があり、23例にはGPT値の上昇が見られた。

脂肪肝の診断は現段階では特別な生物化学的指標はなく、理論上、肝生検が最も直接で正確な診断方法であるが、臨床上、病人にとっては受け入れがたいものである。学者によっては最近の単純性脂肪肝と脂肪性肝炎では肝生検に頼ることは少なく、中度以上の脂肪肝でも、超音波診断では正確性は90%に達し、繊維化していない肝臓なら、超音波診断では正確性が100%に達することができる。このため、我々は超音波検査で肝臓内の光点分布や密集状況、エコーレベルを主な診断根拠とし、同時に患者のGPTと中性脂肪の値を観察した。

[治療方法]

  1. 治療グループの処方薬組成「健脾疏肝法」:垂盆草30g、党参12g、白術9g、伏令9g、意義仁15g、沢写9g、柴胡6g、黄連6g、丹参9g、白及30g、決明子30g等。毎日一回、朝晩2回に分けて経口してもらった。
  2. 対照グループは「多稀康丸」1.8g、ビタミンC 0.3gを毎日3回;「吉非羅斉丸」0.6gを毎日2回経口してもらった。
  3. 二グループとも60日を一治療周期とし、連続して二周期、120日間の観察を行った。
  4. 治療期間中は低脂肪食をとり、禁酒をし、ALT(GPT)が高い者にはよく休息をとってもらった。

[治療効果基準]

  • 臨床治癒=超音波検査での肝臓形態の正常回復、GPTの正常化、血中の脂質の正常範囲への低下
  • 著効=超音波検査で肝臓の光点や密集が明らかに好転していること;エコーレベルが明らかに軽減していること;GPTが正常化していること;血中の脂質の低下
  • 有効=超音波検査で肝臓の脂肪が軽度に改善していること;血中の脂質の低下
  • 無効=有効基準に満たなかった者

[治療結果]

治療グループ42例の内、臨床治癒は10例、著効は22例、有効は6例、無効は4例、総有効率は90.5%であった。対照グループは40例の内、臨床治癒は4例、著効は14例、有効は8例、無効は1例、総有効率は65%であった。

統計学処理上、二グループには非常に顕著な差異が見られた。脂肪肝は一般的に良性の病気と言われており、予後は良好である。しかし、現在、脂肪肝は直接或いは炎症の経過後に、肝臓の繊維化にまで発展すると言われており、約25%の脂肪性肝炎が最終的に肝臓の繊維化にまで発展している。