グリチルリチンは甘草の主成分で、強力ミノファーゲンはグリチルリチン0.2%、アミノ酸のシステイン0.1%、グリシン2.0%を含む注射液です。
1977年、山梨医科大学の鈴木氏らによって慢性肝炎を対象とした二重盲検試験が実施され、血清ALT(GPT)やγ-GTPを有意に低下させることが明らかにされています。薬理作用としては肝細胞膜安定化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用などが認められていますが、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに対する直接的な抗ウイルス効果はありません。さらに強力ミノファーゲン100[mL/日]の大量投与では肝組織中の炎症所見の改善も認められています。したがって、インターフェロン効果が不十分な症例やインターフェロン投与を受けられないB型やC型慢性肝炎症例では、連日ないしは間欠の長期間投与により持続的な炎症の改善が期待できます。副作用としては、時に血清カリウムの上昇や血圧の上昇が見られる程度です。
C型慢性肝炎に強力ミノファーゲンを長期間投与した症例での発がん抑制効果についての研究で、C型慢性肝炎に強力ミノファーゲンを9~16年(平均10.1年)の長期にわたって投与した群と、強力ミノファーゲンやインターフェロンの投与をしていない対照群(平均9.2年)とで、累積肝がん発生率を比較した結果が次の図です。
強力ミノファーゲン投与群では投与開始後10年間で7%、15年間で15%に肝がんを認めたのに対して、対照の非投与群ではそれぞれ12%と25%と明らかに肝がんの頻度が高いことがわかります。なお、投与期間中の平均ALT(GPT)が50[IU/L]以下に低下した症例は強力ミノファーゲン群では35%、対照群では6.4%と明らかな差が認められ、長期間にわたる強力ミノファーゲン投与によるALT(GPT)改善効果が発がんの機会を減らしたものと推測できるとしています。
そのため強力ミノファーゲンは広く使用されており、インターフェロンを使いながらこの強力ミノファーゲンを併用するという手法が多用されています。ただ数値のリバウンドが起こりやすいので、もともと長期間使用できることが長所なのですが、逆に不用意に中止することができません。また副作用として、程度は強くないのですが、血中カリウム濃度の低下とナトリウムの上昇が見られ、血圧の上昇、体重の増加や体のむくみなどが起こることがあります。
Leave a Comment